あのねぇ、今日ねぇ

稲生沢めだか園

大切なめだかたち

※2021年8月15日:追記・修正

先日「生まれました!」でもお知らせしましたが、稲生沢こども園では、「めだか」を飼育しています。毎年、かわいい赤ちゃんめだかが産まれるのですが、実は、ここにいるのは、ただのめだかではありません。とても大切なめだかなのです。

下田のめだかたち

下田 稲生沢こども園 めだか

飼育しているのは下田のめだかたちです。昔は、下田でも、広い地域にわたって、田んぼや田んぼの用水路などで普通にめだかは見られ、子どもたちの楽しい遊びの対象になっていましたが、工事や農薬などの影響でほぼ全域からいなくなってしまいました。その事で心を痛めていた保育園では、下田のめだかを残そうと活動を始めました。

園で飼育しているメダカは2つのグループです。

①下田で採集した「下田めだか」と、②下田原産のめだかに「青メダカ」「白メダカ」「ヒメダカ」等が混じり雑種になってしまったものです。

特に①の「下田めだか」は重要で、とても大切にしています上の写真が「下田めだか」で、順調に数を増やしています。②のめだかは「下田のめだか」を保護しようとしている方から譲り受けた、貴重なメダカです。ただし、このメダカたちは、いただいた時、すでに混血になってしまっていましたので、根気よく「下田めだか」に近づける様に努力をしています。

では、どのような作業をし、どのような事に気をつけているのでしょうか。

「下田めだか」を守ろう

メダカを飼育するのに、次の事に気を付けています。

・①のグループには②のグループや他のメダカを決して混ぜません。そして、決して絶やさないように増やす努力を続けています。

・②のグループから「下田めだか」と思われる特徴を持った子どものめだかを分別し、その子どもたちから、次の世代を育てていきます。この繰り返しで、園では「下田めだか」を産まれさせたいと楽しみながら子どもたちと作業を続けています。

産卵時期になるとホテイアオイを入れ、卵をとり、別水槽に移しそこで孵化させます(共食いを避けるため)。

産まれたばかりの赤ちゃんめだか。エサはすりつぶし、細かくしてあげます。

5月に産まれた赤ちゃんめだかの現在の姿。かなり大きくなってきています!

他にも、捕食者(ヤゴなど)からメダカを守ったり、親による共食いをさけるために孵化した子どもたちを隔離したりと、様々な努力もしています。その成果があってか、今年も赤ちゃんめだかがすくすくと育ち、「あんなに小さかったのに大きくなったね!」「ふとったね!」と水槽をみんなでのぞきながら楽しんでいます。

伊豆下田 稲生沢こども園 めだか保護

「あ、あかちゃんいるー!」

ペットショップに行くと、色々なメダカが売っています。青・白・ラメ入り・パンダ模様等々…。それらは人により、品種改良されたメダカたちです。本来、小川などに生息していた原種のメダカは灰褐色をしています。

「あ!あかちゃんいるー!」「かわいいね!」めだか水槽の前にいる子どもたちの声が聞こえてきます。ここが気に入って、毎日のぞきにくる子もいます。今、守ろとしている「下田めだか」の他、混血になってしまったものも含めて、楽しみ、可愛がりながら、本当の意味での「自然保護」や「種の保存」とはどういうことなのかを、子どもたちと、私たち保育者、そして保護者もみんなで考え、活動をし続けていきたいと思っています。

保護活動と遺伝子汚染

2003年、野生のメダカは「絶滅危惧種」に指定され、全国的に保護活動が広まりました。しかし、生息水域により、遺伝的な違いがあるという事を配慮せず、別水域のメダカを放流してしまい、遺伝子的に違うものが混じり合ってしまう…いわゆる、雑種になってしまったという事例があちこちで起こってしまいました。これを「遺伝子汚染」と呼ぶそうです。例えば「ペットショップなどで購入したものを増やして放流する」「別の場所で採集したメダカを増やし、採集地とは別の場所に放流する」等がそれにあたります。本当の意味での保護活動…生態系を元に戻すには、非常にデリケートな配慮が必要です。現状、めだかは下田でも生息水域ではほぼ姿を消したと言っても過言ではないように思われますが、園では上記の事に配慮し、子どもたちと楽しみながら「下田めだか」の保護活動を進めています。

追記:自然園にあるものを作りました。そこに「下田めだか」たちを放し、より多く増やそうと計画しています。近日公開予定です!お楽しみに!

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