あのねぇ、今日ねぇ

かいこすくすく成長記 その③

蚕を”まぶし”へ「お引越し」そして…

前回のブログの最後で、「繭(まゆ)になりそうな蚕をまぶしへお引越しをさせる」という事を書きました。そして、「繭を作るよ~」という蚕と「まだ葉っぱ食べたいよ~」という蚕には違いがある事も書きました。それでは、どのような蚕を引っ越しさせて、繭を作ってもらうのでしょうか…見てみましょう。

もそもそうごいてる…  うごいてるね…


上の方は体が縮み、体が透き通ってきています(写真では黄色く見えますが…)。下はまだ体が大きく、青っぽいですね。上の蚕が「繭を作りたいよ~」という蚕。下の蚕が「まだ葉っぱ食べたいよ~」という蚕です。また、繭を作る蚕は、桑の葉をあげても食べずに、頭を振ったり、ウロウロしたりしています。

「一斉に」ではありませんが、大体同じくらいのタイミングで繭を作り始めます。パトロールをし、よく見て、繭を作る蚕を探し、どんどん「まぶし」に入れていきます。

蚕たちは自分の「お気に入り」の部屋を探してまぶしの上を歩き回ります。その際、蚕たちは上へ上へ登っていきます。上の方に集まって、ああ、もう上へ行けない…するとびっくり!重さで回転して天地がひっくり返ります!この道具を「回転まぶし」と言います。

回転まぶしへ、どんどんお引越し!

/僕 た ち も い れ て ~\

ゆらゆらゆらゆら頭を振って…繭を作ります!

「お気に入り」の場所を見つけた蚕は、糸を吐き、繭を作り始めます。ゆらゆらゆらゆら…頭を8の字に振って、糸を編んでいきます。

休まず糸を吐き、繭を作り続けます。体もどんどん透き通り、縮んでいきます。

これは蚕の「おしっこ」です。実は、蚕はこの時まで一度もおしっこをしません。ここで!繭をつくる!」と決めた時にお尻をにゅっとだして、おしっこをします。また、うんちの色も黒→緑になり、段々柔らかくなっていきます。

どの蚕も、上手に繭を作っていますね。一つの繭からとれる糸の長さは約1.5㎞くらいといわれています。稲生沢こども園からひかり保育園に届くくらいの長さです!

蚕の姿がすっかり見えなくなりました。しかし、この状態でも完全にできていない(柔らかい)ものもあるので、いじらないようにします。

ここでも、あそこでも、糸を吐いているよ!どんどん入れて!

ひとつのまぶしに、大体150匹くらい入ります。葉っぱを食べていた蚕も、どんどん糸を吐き始めました。入りきらなくなったら、次のまぶしを追加します。今年は30,000頭いるので、だいぶ多くなりました。

繭の中ってどうなってるの?

一生懸命、繭を作った蚕たち…「その②」で紹介したあのバリバリ葉っぱを食べる音もなくなり、静かになりました。では、蚕は中でどうしているのでしょう?。ちょっとかわいそうですが、ひとつ切って、中を覗いてみましょう。

あの白い蚕がいませんね…かわりにあるのは茶色い塊…これは蚕の蛹(さなぎ)です。蚕は繭の中で蛹に変身したのです!

蛹になった蚕です。右下に見えるのは終齢幼虫→蛹になるときの「最後のだっぴがら」です。

園長先生が中身を見せてくれました。繭をハサミで切る時にはみんな「かわいそうだよ!」とブーブー。みんな蚕を大切にしていたことがわかります。でも、中の蛹を見る時には目を丸くしていました。

ふわふわ”まわた”「わたあめみた~い!」

さて、たくさんの繭ができました!このままにしておくと、ちょっと大変なことになるので(それはまた後日紹介いたします)、そうなる前に、糸にする工場に送るため、ひとつひとつ、繭をまぶしから外します。それまで「繭はそっとしておいてね」との約束で、突っついたり、いたずらしたりしないで見守ってきた子どもたち。まぶしからぎゅっと押し出し、初めてさわると…「かたーい!」「ふわふわしてるのがついてる~」「ざらざらしてる!」と色々な感想が。ここで、またみんなにお手伝いをしてもらいます。繭のまわりについているふわふわした糸をとってもらいます。むいていくと、手にたくさん”まわた”がたまっていきます。「わたあめみた~い」「みてみて、ぶーらぶら~」。みんなで楽しみながら、たくさんの繭をきれいにしてくれました。

まわたとりの様子

※拡大可です。

さよなら、かいこさん…

きれいにした繭は選別をして、群馬県にある製糸工場に送ります。ここで、衝撃の事実が。

「繭の中の蚕は、糸にする時に全て死んでしまいます」

それを聞くと、子どもたちは「やだ!」「かわいそう!」と言います。産まれてから1か月間、いるのが当たり前だった蚕。仲良しになり、たくさんの楽しみや喜び、驚きを体験させてくれた蚕。死んでしまうのは嫌なんですね。しかし、こうして【色々な命から、たくさんの恵みをいただいている】こと、そして、【恵みをいただいた色々な命に感謝をする】ことを伝えます。

製糸工場へ送るために箱につめます。さよなら、かいこさんたち…。

しっかり封をして、クール便で送ります。

宅急便の方に集荷にきていただきました。心を込めて「お願いします!!」

子どもたちに色々な経験をさせてくれた蚕たち。ひとつひとつの小さな命に本当に感謝です。また、桑の葉を提供してくださった皆様、本当にありがとうございました。みんなで育てた大切な繭。どのような姿で帰ってくるのでしょうか。

つづく!

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